石像寺。西陣にある浄土宗のお寺。ご本尊は地蔵菩薩。寺伝では弘法大師(空海)により819年(弘仁10年)に創建。当初は真言宗で、鎌倉時代に再興を機に浄土宗に改宗。
人の苦しみを抜き取ってくれるお地蔵さま「釘抜地蔵菩薩」、苦抜から釘抜へと名前が変わっていったと伝わります。
「いつまでも無いと思うな運と災難」
災難は一生のうちに、大小はあるにせよ誰もが必ず、この身に訪れることでしょう。
それを受け止め、対処することが大切ですが、お地蔵様におすがりすることもあります。
お地蔵さまとのかかわりの中で願いが成就、この素朴な信仰がこの地だけでなく京都の町内にも、今でも脈々と生きづいているところも京の魅力の一つ。
ここでのお参り様式は、数え年の数だけ地蔵堂の周りを時計回りに廻る「お千度参り」。
廻る回数を忘れないよう年齢の数の竹の板を事前に持ってから廻ります。
お堂の前には、宝珠と魔や厄を払う五鈷杵(ごこしょ)もあり、真言密教色を引き継いでいます。宝珠と五鈷杵は須弥壇に安置されたお地蔵さんと太い紐でつながり、これを握ってから拝みます。早朝、ご住職がお堂の中でお経を唱えていますので、お参りのありがたさも高まることでしょう。
お堂裏手には「阿弥陀三尊像」石像(重文・鎌倉時代)、また、チベット仏教の仏具「摩尼車」(まにぐるま)などもあります。
悩みや苦しみから解放されたお返しとして、無数の絵馬が奉納されています。
なお、お堂の左奥は墓地。空海が掘ったとされる井戸「加持水」や小倉百人一首を選定した藤原定家の墓(相国寺にもあり)があります。(墓地での写真はご遠慮)
早朝から晩まで参拝の方が途絶えませんが、境内は穏やかでほっこりした空気に包まれ、時代がタイムスリップしたようで懐かしい気持ちになります。たぶん、この雰囲気に包まれることで、多少なりとも苦が和らぐことでしょう。
お寺が用意したお茶のご接待を受けながら、縁台で一休みしては何時間もお参りが続く方も見かけます。