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陰と陽の世界

                    陽の庭
               陽の庭
                   陰の庭
               陰の庭

妙心寺退蔵院「余香苑」の入り口にある栗の木(なぐり*)の門をくぐると、正面に1本の枝垂れ桜の大木があります。

この桜、数年前のJR東海の「そうだ京都行こう」で、このお寺のポスターの顔となりました。

キャンペーンビデオの撮影で、上空から見たところハート型の姿であることがわかったそうです。

 

桜の左側が白砂の「陽の庭」、右側が黒砂の「陰の庭」。


私たちは「陰・陽」「善・悪」「損・得」「富・貧」などと物事を二元的、相対的にとらえる傾向があります。
自分の立ち位置を確認して安心したりと無意識に使います。しかし、このことが迷いの本質で、そのどちらかを選り好みすることによって、この迷いは一層深くなると「禅」では教えています。

 

「白隠禅師坐禅和讃」のお経の中にもこんなフレーズがあります。
 衆生 本來佛なり
 水と氷のごとくにて 水をはなれて氷なく
 たとへば水の中に居て 渇(かつ)を叫ぶがごとくなり
 長者の家の子となりて 貧里に迷ふに異ならず

 

さて、般若心経を唱えてから座禅や写経でもして、煩悩を開放しましょうか。(合掌)

 

*「なぐり(名栗)」

釿(ちょうな)という鎌のよな道具で削る技法で、京都でもこれができる職人は数える人しかいないそうです。京北町「原田銘木」さんもそのおひとり、後継者もおり一安心です。栗の木は寝かすこと10年余り、それでも暴れのある扱いにくい木ですが、水の腐食に強いため、京町家の格子戸、神社仏閣の軒下や数寄屋造りには欠かせない材です。

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余香苑